第9話〜善政の街マルセイユと二人の美女〜
それにしても、あの女性は一体何者だったんだろうか? 立ち居振る舞いも只者とは思えない。はて?
僕はセビリアを出て海岸沿いの街を発見しつつ、ピサへ向かう事にした。
パルマにバレンシア、バルセロナ。イスパニアの街々に寄港してはその街の酒場で名産品に舌鼓をうつ。
セビリアを出て10日目。フランスの都パリの近くフランス海軍の本拠地、マルセイユへと寄港した。
マルセイユは洗練された上品さの中にも気高さを感じる。
何より民が生き生きしているように見えた。
街の人の噂話で聞いたのだか、なんでも「ブルボンの皇女様」とそれを守護する騎士団がこの街に善政を敷いている様だ。
騎士団には「若き騎士」と「クマの騎士」という凄腕の騎士がいる様だ。いつかお会いする日もあるだろうか…。
ひと目見ようとマルセイユ王宮を訪ねるも、身分も低く名声も無い僕は門前払いされてしまった。
当然とはいえば当然である。
「あーあ、見たかったな。」とつぶやきつつ、銀行に向かう事にした。
「ん?」
銀行の前で一人の女性が困った顔をしていた。
「あの、どうされました?」
「あぁ、すみません。お金というものの降ろし方がわからなくて…。」
その女性は美しい黒髪に大きな瞳をした美しい女性だった。どこか浮世離れしている風に思えた。
「あぁ、僕が変わりに手続きします。少し待ってて下さい。」
数分後、お金を手渡すと女性は笑顔で応えた。
「それでは。」
僕は軽く会釈して立ち去ろうする。
「あの?私はア…。アニーと申します。あなたは?」
「僕はジェイです。ネーデルランドの航海者の卵です。」
「ジェイさん、ありがとうございました。またお会いしましょう。」
「はい。お気をつけて。」
僕が立ち去ろうとした後、後ろから迎えだろうか?容姿端麗な青年がやってきて、少し話すと女性と青年も立ち去っていった。
「恋人かな。」と少し残念な気がしつつ、僕は酒場で一杯やる事にした。
マルセイユの酒場に入り、適当に席につく。
果実酒と生ハムを頼む。
「はい、お待たせ。」
「ありがとう。」
その声の方を見ると衝撃が走った。
長い黒髪に美しいドレス。只の酒場娘とは思えない気品に満ちた女性がそこにいた。
「私は、イレーヌ。貴方は初めて見る顔だけれど航海者さんかしら?」
「はい、今日こちらについたばかりです。名前はジェイです。」
「そう、ジェイさんね。これからもこの酒場をご贔屓にね。」
絶世の美女とはああいう人の事を言うのだろうか。
あぁまたピサに行くのが遅くなる気がする。
僕は苦笑いしていた。

中の人は浮気症ではありませんから!
(;´Д`A
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コメント
>「若き騎士」と「クマの騎士」
っていうのが面白いですw
例え上手だなぁー
イレーヌさんに心奪われたのね
☆彩^^ #- | URL | 2015/05/24 01:44 [edit]
呼んだ?
もし「クマの騎士」が私だとしたら、それはまちがいですよ
なぜなら、私は単なる「従順な下僕」に過ぎないのだから・・・
えと、初コメですね^^;
先日はフレ登録ありがとう。実は、ジェイさんのブログ、時折り読んでましたw
なのにブログ主と気づかないなんて・・・人の名前を覚えられないようです
いまでも彩香さんのことは☆さんと呼ぶくらい覚えられないです
ジェノヴァの商会かぁ・・・ライバルだ!w
スナイデル #- | URL | 2015/05/26 20:15 [edit]
彩さん
イレーヌを見た時、なんか酒場娘で一人だけ違う!と思ってました(^^)
色々な酒場娘を見ましたがイレーヌが一番ですw
ジェイ #- | URL | 2015/05/26 20:39 [edit]
スナさん
こちらこそありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
自分も某ネーデル有名ブロガーさんの奴隷なのでお気持ちは(T ^ T)
何の役にも立たないブログですが、これからも見に来て頂けるとうれしいです( ´ ▽ ` )ノ
ジェイ #- | URL | 2015/05/26 20:47 [edit]
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